薬剤師が教える抗酸化物質 「ビタミンC」について
私たちの身の周りにある代表的な抗酸化物質であるビタミンCですが、最近は不足しがちな人も増えています。
ビタミンCの歴史や、含まれている食品などについて解説していますので、もっと身近に感じて欲しいと思います。
毎日の健康習慣として、うまく摂取したいですね。
ビタミンCの歴史
ビタミンとは、人間が生きていくうえで必要な栄養の一つで、中でもレモンやジャガイモなどに多く含まれるビタミンCは最も有名なものでしょう。 その発見は1932年のことですが、それ以前から壊血病の予防に柑橘系の果物に含まれている物質が役立つことは知られていました。 16世紀以降の大航海時代に200万人もの船員が壊血病によって命を落としました。 その事態を打破するために、英国海軍医師のジェームズ・リンドが船に柑橘系の果物と生鮮野菜を積み、壊血病の予防と治療に利用したのが最初だと言われています。 その後、様々な研究が進められビタミンCの化学構造が立証されたのが1932年のことです。
ビタミンCの作用
ビタミンCにはさまざまな働きがあります。 まず、コラーゲンを合成する作用があります。 タンパク質の一つであるコラーゲンは、体の細胞をつなぎ合わせたり、丈夫な骨を作ったりする働きがあります。また、肌に潤いを与える役割もあります。 ですから、ビタミンCが不足すると、コラーゲンが不足して壊血病になったり骨粗鬆症になったりします。 また、ストレスに対抗する働きもあります。 ヒトがストレスを感じると、それに対抗するために抗ストレスホルモンが分泌されますが、ビタミンCはこの抗ストレスホルモンを作るときにも必要なのです。 他にも、血圧を正常に保ち血液中のコレステロールを正常にする働きもありますし、メラニン色素を作り出すチロシンという物質を抑えてシミ、そばかすを防ぐという効果もあります。 さらに、ビタミンCの大きな役割として抗酸化作用があります。 細胞を酸化させて体に悪影響を与える活性酸素を分解することで免疫力を高め、がんや動脈硬化、脳卒中、糖尿病などいろいろな病気を予防してくれます。
ビタミンCが含まれる食物
ビタミンCは主に緑黄色野菜や果物に多く含まれています。 野菜ではピーマンやキャベツ、パセリ、ブロッコリーなど、果物ではアセロラやレモン、グァバ、ゆずやキウイフルーツなどに多く含まれます。
不足しやすいビタミンC
しかし、最近では農薬や人工照明を用いたハウス栽培が主流になっているため、野菜や果物に含まれるビタミンCの量が減っていると言われています。 ですから、意識して摂取するようにしないと不足してしまいます。 また、ビタミンCは熱に弱いので調理の段階で壊れてしまいますし、タバコやアルコールの摂取、ストレス、激しい運動などによっても大量に消費されますから、こまめに補給することが大切です。