薬剤師が教える抗酸化物質 「βカロテン」について
緑黄色野菜に豊富に含まれる黄色い色素であるβカロテンは抗酸化作用があるだけではなく、体内でビタミンAに変換され、皮膚の粘膜を形成したり、夜盲症の対策にも活躍します。
ビタミンC、ビタミンEと並んで、毎日の食生活の中で摂取する重要な抗酸化物質ですから、よく学んで頂き、毎日の健康習慣に取り入れて下さいね。
βカロテンの歴史
βカロテンとは、カロテノイドという天然に存在する色素の一種で、野菜などに含まれている黄色いものです。 この黄色い色素のβカロテンは1831年、Wackenroderによって初めて分離されました。 その後、1907年にβカロテンの分子式がC40H56であることが明らかになり、1931年にポール・カーラーによって分子構造が解明されました。 βカロテンを発見したポール・カーラーはこの研究によって1937年にノーベル化学賞を受賞しています。 βカロテンの人に対する作用については、1970年~1980年代に盛んに研究されました。 その結果、βカロテンには抗酸化作用があり、様々な生活習慣病の予防に効果があることが発見されました。
βカロテンの作用
βカロテンを摂取すると体内に蓄積され、必要に応じてビタミンAに変換されます。 そのため、プロビタミンAとも呼ばれています。 ビタミンAは皮膚の粘膜を形成するのを助けてくれますから肌の角質化を防ぎ、肌荒れや乾燥肌を改善してきめの細かい肌を作るのに役立ちます。 また、シミやシワを予防し、ニキビにも効果がありますし、夜盲症を改善する働きもあります。 ビタミンAに変わらずにβカロテンとして残ったものも、皮膚や内臓などの膜組織を健康に保つ効果があります。 さらに、βカロテンには強い抗酸化作用があります。βカロテンは活性酸素を無害化してくれますから、アンチエイジング効果や肌、髪、爪を健康に保ってくれます。 他にも血液中の悪玉コレステロールが血管内に溜まって酸化するのを防止する働きもあるので動脈硬化の予防にも効果的です。
βカロテンを多く含む食物
βカロテンを多く含むものとして代表的なものはニンジンでしょう。 カロテンという言葉はキャロットが語源だと言われているほどです。 他にも、赤紫蘇やパセリ、ケール、ほうれん草、カボチャ、春菊、にら、パセリ、モロヘイヤ、小松菜などにもβカロテンが多く含まれています。 ちなみに、これは豆知識ですが、ニンジンを生で食べるよりもゆでたニンジンを食べた方が体内でのβカロテンの吸収率が高くなります。
過剰摂取しても大丈夫?
ビタミンAを構成しているレチノールという物質は、過剰摂取すると副作用の可能性があると言われていて、特に妊婦には胎児に悪影響を与える恐れがあるため摂り過ぎてはいけません。 しかし、βカロテンは必要に応じてビタミンAに変換されるので、過剰摂取の心配はありません。(必要がなければ、ストップします。) レチノールはレバーやウナギなどの動物性のものに多く含まれますが、βカロテンは野菜などの植物性のものに多く含まれます。 βカロテンの多く含まれる野菜類は積極的に摂取しても大丈夫です。