薬剤師が教える抗酸化物質 「コエンザイムQ10」について
コエンザイムQ10は、もともと心臓の薬として使われており、ここ最近になってサプリメントとしても使用されるようになった注目の成分です。エネルギーを産生する力と、強力な抗酸化作用の両方がありますので、体に嬉しい栄養素と言えます。
ブロッコリーやイワシ、牛肉などに含まれているのですが、1日目安量を摂取するのは大変です。
サプリメントを上手く活用することで、より若々しく元気な毎日を過ごして頂けるでしょう。
コエンザイムQ10の歴史
コエンザイムQ10は細胞がエネルギーを生み出すために活躍する補酵素で、ビタミンと並んで体に重要な働きをしています。 ビタミンとは微量でも私たちの体の代謝に重要な働きをしながら自分で作ることのできない化合物ですが、コエンザイムQ10は人の体内でも合成されています。 コエンザイムQ10の研究は、1950年代初めにイギリスのモートン博士らによって始められ、彼らはこれをラテン語の「普遍的に存在するもの」という意味の「Ubuiquitous(ユビキタス)」を語源として「Ubuiquinone(ユビキノン)」と名付けました。 これとは別にアメリカのクレーン博士らは1957年にウシ心筋ミトコンドリアの中からコエンザイムQ10を分離し、これらが補酵素(Coenzyme)的な働きをすることからコエンザイムQ10と呼びました。 そして、翌1958年にアメリカのフォーカース博士がコエンザイムQ10の化学構造を突き止め、それから本格的な研究が始まりました。 フォーカース博士は心臓病患者にコエンザイムQ10が不足していることや、コエンザイムQ10に強力な抗酸化作用があることなどを発見しています。
コエンザイムQ10の作用
コエンザイムQ10の働きの主なものはエネルギー産生と抗酸化作用の二つです。 私たちの体の細胞が正常に働くためには、ATP(アデノシン三リン酸)というエネルギーが必要です。 このATPの95%はミトコンドリアという細胞の中に存在する小器官で作られており、コエンザイムQ10はこのミトコンドリアの中に多く存在してATPを作り出す働きをしています。 コエンザイムQ10が不足するとATPが不足し、疲れやすくなったり風邪をひきやすくなったりするのです。 また、コエンザイムQ10には強力な抗酸化作用もあることが分かっています。 私たちの体の細胞を劣化させる過酸化脂質は、コエンザイムQ10によってしっかりとその生成を防がれるのです。 コエンザイムQ10は抗酸化物質の中でも主要な働きを行うもので、非常に重要なものです。
コエンザイムQ10を多く含む食物
コエンザイムQ10は牛肉や豚肉、鶏肉などの肉類やイワシ、サバ、鮭、マグロなどの魚類、キャベツ、ホウレンソウ、ジャガイモ、ブロッコリーなどの野菜類、ピーナッツや枝豆、大豆などの豆類に多く含まれています。 しかし、これらだけで一日に必要な分量を摂取することは難しいと言われています。 コエンザイムQ10は一日に30㎎~60㎎を摂取することが推奨されていますが、これを食物から摂ろうとするとイワシなら6尾、牛肉なら950g、ピーナッツで1,150gを摂取する必要があります。 毎日こんなに食べていたら明らかにカロリーオーバーです。 ですから、サプリメントなどを利用してコエンザイムQ10が不足しないようにする必要があるのです。