薬剤師が教える抗酸化物質 「カテキン」について
お茶に多く含まれるカテキンには強い抗酸化作用だけではなく、殺菌作用もあります。またここ最近の研究では、脂肪を燃焼する働きがあることも分かってきました。
このカテキンの働きや、上手く摂取するための工夫についてお話させて頂いています。
カテキンの歴史
緑茶に多く含まれているポリフェノールの一種のカテキンは、渋みや苦みのもととなる成分です。 カテキンの発見は1821年のことで、ドイツの化学者ルンゲによってなされました。 インド産の植物、マメ科アカシア属のペグノキからとられた生薬から結晶状の物質を分離したものがカテキンでした。 この物質にカテキンという名前を付けたのは同じドイツの植物学者、エーゼンベックで生薬の名前のCatechu(カテキュー)を語源としています。 その後もカテキンについての研究は盛んに行われていて、体脂肪の低減やコレステロール吸収抑制、抗酸化作用などの働きが認められています。
カテキンの作用
カテキンの抗酸化作用は、ビタミンEの約50倍とも言われています。
私たちの体はストレスを感じたり激しい運動をしたり、紫外線を浴びたりすると活性酸素というものが生成されます。
これには体内に細菌が入らないようにするといった重要な役割もありますが、増えすぎると細胞を酸化させて老化を促すという欠点もあります。カテキンにはこの活性酸素を除去する働きがあり、アンチエイジングにも活躍します。
他にカテキンには抗菌作用があることも分かっています。
寿司屋では食後に「あがり」という緑茶を出していますが、これは緑茶に含まれるカテキンの抗菌作用が食中毒の予防に役立つからです。
さらに、カテキンには脂肪燃焼効果があることも分かってきました。
筋肉や肝臓で脂質を燃やす働きをしているのがβ酸化関連酵素と呼ばれるものですが、カテキンにはこの酵素の働きを活性化させる性質があるのです。
その性質は、入ってくる脂肪にも、もうすでに体に溜まってしまった脂肪にも効果があり、生活しているだけで脂肪がエネルギーとして使われやすくなるのです。
結構嬉しい働きですね。
カテキンを効率よく摂取するには
カテキンは、緑茶、煎茶、ほうじ茶、番茶といったお茶に多く含まれています。 なお、緑茶を毎日4杯程度飲むようにすると推奨摂取量になります。 また、緑茶は通常、茶葉にお湯を注いでそこから浸みだした液を飲みますが、この方法ではカテキンやビタミンCなどの有効成分が茶殻に残ってしまいます。 その量は一番煎じのお茶だけを飲むと有効成分の40%程度、二番煎じのお茶まで飲んでも20%程度は茶殻に残るのだそうです。そこで、茶葉をミキサーやすり鉢で粉末状にして飲むようにすると、茶葉の栄養を全て吸収することができ、有益な成分を無駄にすることがありません。