薬剤師が教える抗酸化物質 「アントシアニン」について
ブルーベリーに含まれる青黒い色素であるアントシアニンは、視力の改善だけではなく、ビタミンCの働きを強めたり、活性酸素に対抗する力があります。
幅広い作用を持つアントシアニンですが、24時間しか効果が持続しませんので、継続して摂取することが大切です。
こんなアントシアニンについて、プロの視点から分かりやすく解説しています。
アントシアニンの歴史
アントシアニンは青紫色の天然色素で、赤ワインに含まれていることで有名なポリフェノールの一種です。 このアントシアニンの生理機能についての研究は、第二次世界大戦中にブルーベリーのジャムを食べていたイギリス軍のパイロットが、夜間でも目的物を視認することができたということがきっかけで進められました。 これがブルーベリーに含まれるアントシアニンの効果ではないか、と考えられたためです。 その後、様々な研究が進められ、視力の改善だけでなく、抗酸化作用や糖尿病と多々赤う力などがあることが発見されています。
アントシアニンの作用
アントシアニンの最も有名な作用は視力の改善です。 目で物を見る時には、明るいところで作用する錐体という細胞と、暗いところを見る時に作用する杆体という細胞があります。 この杆体にはロドプシンという色素があり、光の刺激を受けるとすぐに分解され、またすぐに再合成されます。 この再合成が上手くいかないと目がちかちかしたり視界がかすんだりしてしまいますが、アントシアニンにはこのロドプシンの再合成を活性化させる働きがあります。 そのため、疲れ目の予防や改善、視力回復に効果があるのです。
アントシアニンは、老化や様々な病気の原因となる活性酸素を除去する抗酸化作用を持っています。 活性酸素は紫外線やストレス、喫煙などで体内に発生するのですが、その量が増えるとがんや脳卒中、動脈硬化を引き起こしてしまいます。 しかし、アントシアニンはこれを防ぐことができます。 アントシアニンはビタミンCと一緒に摂取すると特に効果的で、同量のビタミンCだけを摂取した時よりも5倍の抗酸化力を発揮します。
他に、アントシアニンには毛細血管を強化して循環機能を改善する作用や、潰瘍などの粘膜の損傷を抑える抗潰瘍作用、炎症を抑える抗炎症作用なども認められています。
アントシアニンが多く含まれる食物
アントシアニンはブルーベリーやビルベリーといったベリー類に多く含まれます。 その他にも、カシスやブドウ、赤紫蘇、ナス、イチゴ、黒豆、黒ゴマ、紫キャベツなどにも含まれています。 アントシアニンは色素ですから、これを含む食品には濃紺色をしているものが多いのが特徴です。 ただ、アントシアニンの効果には即効性があるのですが、24時間程度で消失してしまいますから継続的に摂取することが必要です。